一般社団法人日本開発工学会

会長挨拶

学会の役割は人と人との出会い
代表理事・会長 馬場 玄式

 令和元年の社員総会で、一般社団法人日本開発工学会の会長に就任しました馬場です。鈴江康平(元科学技術庁事務次官)初代会長から数えて6代目に当たります。
 開発工学研究会が、水野恵司(千葉商科大学教授)初代運営委員長の旗振りのもと、産声をあげて40数年の年月を経ています。ダイヤモンド社(当時、霞が関)が、特許制度に新たに導入された公開情報(昭和46年[1971年])に基づき経営開発情報(MDI:Management & Development Intelligence)を会員制の下、提供している過程で本学会が誕生しました。当学会に入会したのは、虎の門界隈のスナックで、水野先生他数名(MDIメンバー)と一杯やった「縁」です。今では珍しくないですが、水野委員長の発案で「女性のための管理者教育」と称して、箱根、熱海あたりで、泊りがけのセミナーを開催していました。法人会員の多くも、従業員をセミナーに派遣するだけのゆとりがありました。手元の名簿では、会員数約二千名、法人会員70社です。(平成8年5月31日現在) 勿論、専従の学会職員も2名おりました。
 その間、学会を取り巻く外部環境(経済、社会、技術など)の変遷により、当学会も大きな影響を受けて来ました。当然に現在、学会が求められているミッション(使命)も変遷していることになります。幸いなことに、学会が掲げる旗印は「ビジネスの創造に関する全ての事柄を研究する学会」と、成っています。会員の構成員も特定の技術分野などに偏ることなく、古い言葉で言うと「文理融合型」の学会です。今まさに騒がれている「IoT」、「AI」などによる第四次産業革命の対応には、多様性を旨とした、うってつけの学会の立場になります。
 未曾有の大参事「3.11」では「開発工学」に特集「東日本大震災後の開発工学の役割」(vol.31 No.1 2011)を組みました。理事に「も少し様子を見て・・・」と、いう意見もありましたが、関連のシンポジウムも開催しました。学会の社会的使命としては、妥当な学会(原子力関係)も多数ある中、他の学会に先駆けて動きました。当学会が誇っていい社会的貢献の一行為でした。これも、多様性に富んだ会員(学会)のなせるワザと思われます。
 柳田博明2代目会長は、東大を退官後、神田に事務所を設けられました。事務所は、小生の事務所が近かったこともあり、学会のことで、度々訪れました。事務所は、多くの人々が集まり「千客万来」の様相を呈していました。名工大の学長をされている折、教職員を含めて同大学で特許出願件数が一番多いといっておられました。柳田先生は、ファインセラミックが専門ですが、特許出願内容は多岐にわたっていました。同会長が平成16年11月8日に、当学会で基調講演「企業の文化的価値」をされました。他の複数の会員からも賛同の声を時々耳にしますので、以下、その内容を紹介します。
 『企業を社会の活性化、特に経済面での活性化の起動力と見る人が多いが、筆者は文化的な観点での価値を重視する。21世紀は「個」の時代である。教育はジリツ(自律、自立)の力を育てるためにある。時代は大きく、速く変化している。頼れるものは自分しかいない。責任転嫁して済む時代ではないし、転嫁の対象も漂ってしまうのである。確立した「個」の活躍の場面を自ら築くことが、社会に対する責任をとり、説明をするもっとも良い手法である。起業を「個」の確立、発露の場として捉えることを提唱する』。論点を10個の箇条書きで提示されています。時代が推移しても、新鮮に感じられます。
 さて、通信機器、交通網の発達した日本国で、なぜ東京に人が一極集中するのだろうか?それは、人と人の繋がりに起因するものと思われます。人に、電話で大事なことを頼む場合と、直接会って頼む場合とでは、違うことを読者の方々も実感されていると思います。多くの企業は、東京に本社を持ちたがる。国際間の国同士の付き合いにおいても、国の意思を伝えるために、各国が相互に大使館などを設置する。これは、人間の知覚作用に起因するものと思われます。知覚作用は、人体の五感、上から、視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚です。人体の上部の方がより情報の送受信量は多いのです。しかし、情報伝達の信頼度の点、つまり人の「心」に響く度合は、その逆です。各国要人が会うと握手をするのも頷けます。
 学会の利点は、分野、年齢、性別、風習、宗教などに囚われないで交流できる点にあります。直接、人と人が会う機会を作ることによって、会員相互の信頼が得られることを期待します。各会員におかれましても、できるだけ会の行事には参加して頂いて、会を盛り上げて頂きたいと思います。
 会長の役割(使命)は、正月の恒例・箱根駅伝の ランナーと似ていると思われます。襷(たすき)を次のランナーに好位置で渡すことです。会員の皆様 の支援・応援の方、よろしくお願い致します。

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